◆「伊右衛門」の福寿園会長福井氏に学ぶビジネスのヒント
「伊右衛門」とはサントリーと福寿園の共同開発で生まれた
ペットボトル入りの緑茶です。
福寿園の創業者である福井伊右衛門の「伊右衛門」を
ネーミングにしたものです。
福寿園は創業二百年以上の歴史をもつ老舗、現会長は
8代目ということです。
今回は福寿園会長福井氏の話からビジネスのヒントを学びたい
と思います。
●福井家家訓「無声呼人」と「つもり十訓」
福井家の家訓に「無声呼人」というものがあるそうです。
「声なくして、人を呼ぶ」という意味で、
バナナの叩き売りのようなかけ声で物を売るのではなく徳を積み
自分を磨くことで人が集まりものが売れて行くということ。
商品にも徳や品格が必要でそれがあれば商売は自然に
成り立つということです。
逆に言い換えるなら徳も品格もないビジネスでは、たとえうまくいったとしても
それは一過性で終わり長くは続かないということではないでしょうか。
「つもり十訓」とは、
一、多いつもりで ないのが分別
二、あるつもりで ないのが財産
三、ないつもりで あるのが借金
四、深いつもりで 浅いのが知恵
五、浅いつもりで 深いのが欲
六、高いつもりで 低いのが見識
七、低いつもりで 高いのが腰
八、儲けるつもりで 損するのが商売
九、飾るつもりで 剥げるのが嘘
十、隠すつもりで 顕れるのが悪事
これらの家訓はすべて「今日の利益のためよりも、
明日の利益のために何をしたか」に通ずるものだといいます。
●目先の利益だけを追い求めるインスタントビジネスではサバイバルできない
ビジネスの原点は人や社会の役に立つことをするということです。
その結果として報酬が発生するものです。
この原点を忘れ自分のためだけに儲けを追求しても
結局は長続きせず損をするのがビジネスなのです。
下流化するこの時代では貧困層をターゲットにした
「貧困ビジネス」などというものまで登場しています。
また、情報弱者を相手にしているのでしょうか、「誰でもすぐ儲かる」、
「ほったらかしで月収○万円」といった類の詐欺か詐欺まがいの広告は
後を絶ちません。
ここまでくるともはや徳だの品格だのとは無縁のビジネスです。
二百年以上も続く福寿園福井家家訓が示すのは時代が変わっても
ビジネスの原点、人の本質は変わっていないということではないでしょうか。
多くの人が「収入を増やしたい」という動機でビジネスを検討することに
異論はありませんが、選択するビジネスがビジネスの原点から
はずれていないものかどうかという点は十分に考える必要がありそうです。
◆発想の転換をしなければ環境変化に対応することができない